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−−そして今年の5月にはアルバム『CMようこ』を発売しましたが、配信で大ヒットとなり、満を持してのCD発売となりました。選曲は菅野さんが手がけていますが、その選定は?
菅野よう子:広告の良いところを出せた楽曲を集めようと。私にとってコマーシャル音楽って、見捨てられ聴き捨てられ、どんどん古くなっていく前提。その時だけのインスタントな味わいを追求するもの。
CDにしちゃうと、インスタントなその気持ちとは裏腹に、何回も聴かれることに耐えなくてはいけない。「インパクトが強いだけでうるさくなっちゃうかな?」などと思ってあんまり出したくなかったんですよ。だけどたまたまバイオリズムが合ったところもあって(笑)、消費されていくものの軽さ、可愛さとか、そういうものを表現できればいいなって思いますね。
−−『CMようこ』は全体を通してポップでカラフルな作品になりましたよね。
菅野よう子:身体に悪い感じにしようと(笑)。どぎつくてうるさくて、ジェリービーンズみたいに攻撃的に甘かったりして毎日は食べたくない。けど気分転換にちょっといいかな、みたいな。
−−iPodでシャッフルにして聴いてると、まさにCMのように『CMようこ』収録曲が入ってきて面白いんですよ。
菅野よう子:なるほど! そんな風に聴けるのは良いですね、新しい(笑)。 辛子とかスパイスみたいな音も必要なんでしょうね、みんなが一生懸命作ってる音楽の中に、そういうちっちゃくてくだらないもの(笑)。
−−いやいや……。でも本当に音楽に対する縛りがないですね。
菅野よう子:だってその縛り、“かくあるべし”がないんですもん。よく「どんなクラシックやジャズが好きなんですか?」って聞かれるんだけど、そのカテゴライズもよく分からないし。
−−菅野さんはジャズがそれほど好きではないと伺いましたが、その人がどうして『Tank!』をはじめとする、「カウボーイビバップ」(※3)のサントラを作れたのか、本当に不思議です。
菅野よう子:私の非常に少ない情報の中でのジャズっていうのは、みんながず〜っと同じことを繰り返してて長い! どこ聴いて良いのか分からない!(笑) 監督の渡辺信一郎さん(※4)にジャズの良さを聞いてみると、その人なりにあるんですよね、「人生が……」とか「新しい人間性が……」とか。多分凄いものがあるに違いないんですけど、でも全然分からない! 絶対無理!(笑)
で、自分で面白いと思えるフォーマットを作成したらあんな感じに。あの時、私は演奏者が楽しんで弾ける曲にしようと思ってましたね。
−−菅野さんは曲作りをしている時がピークなんですよね?
菅野よう子:作っている時は頭の中がドリームでいっぱいになるんですよ。ぽんっと世界が表れて、こんな音でああしてこうして……、頭の中で流れている音楽は「何て素敵なんだあ!」って(笑)。子供の頃から頭の中で鳴っている音楽で踊ったりしていたので、想像で満足しちゃって譜面に書いてる内に飽きてきちゃう、「な〜んか違うな、これぇ……」って。
(一同笑)
菅野よう子:もちろん思っていたより良くなることもありますけど、やっぱりドリームの方が大きいんですよね。今まで何十年もやってきて、一生懸命言葉で伝えようとしてもなかなか分かってもらえず、少しずつやってきてる感じですね。
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