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−−また、CMのクライアントって急な依頼も多いと思うのですが、かける時間によってクオリティは変わるものですか?
菅野よう子:時間をかけたからって良くなるとは思わないですね。第一印象がストレスなくペロンと出た時の方が、抜けが良い印象があって、むしろ急なクライアントの方が良い作品になることの方が多いです。っていうのは時間がないとみんながすぐにまとめに入ってくれるから、うるさいこと言われないっていうのもあるんですけど(笑)、なんかすーっと抜けていく時があるんですよね。
左脳で考えた理論やコンセプト、思い入れの上をぴょんと越えてしまう。皆さん色んなことを仰るんですけど、ぴょんって行けた時に「あ、それだったみたい!」って、納得感が訪れる瞬間があるんです。時間がないということはお客さんに新鮮なまま届けられることでもある、私としてはその方が抜けの良い感じ、伝わる力があると思っています。
−−クライアントの要求に困ることなどもある?
菅野よう子:ありますよいっぱい。皆さんがバラバラなことをおっしゃって、話が広がっちゃったりとか、「社長がピアノ好きなんで……」とか(笑)。個人的な楽器の趣味をオーダーされることは案外あるんですけど、極端に言えばクライアントに好きだからと言われればやらざるを得ないですよね。でも、基本的には無茶なワガママって大好き!(笑)
−−菅野さんってそういう厳しい状況は……?
菅野よう子:大好き!うまくいかないことがあると燃えちゃうんですよね。コンサートで途中、「電源が切れた」とか「タレントの靴が脱げちゃった」とか、「よしっ、私が何とかしてやる!」って(笑)。アクシデントがあればあるほど好きですね。
−−そういえば以前、「∀ガンダム」(※5)の時に富野監督から難しい注文を受けたこともあったとか……?
菅野よう子:とにかく言葉がいっぱい、攻撃か弾幕のように出てくる方で(笑)、おまけに本人が音楽の力をまったく信じてない。多分、自分の言葉しか信じてない、全部台詞で言っちゃう。最初は「あ゛ぁ〜! 」って感じでしたけど、「音楽も絵も信じてない人なんだ」って分かってからは大丈夫でした(笑)。
−−今、絵の話が出ましたが、菅野さんは以前、アニメでは実写の俳優が見せる表情の機微までは表現できないから、音楽のアプローチも変わってくると仰ってましたよね。
菅野よう子:今は両者は段々近づいてきましたけど、絶対的に違うのは実写だとその場のタレントさんや俳優さんの演技に、脚本も変えうる力がある。けどアニメは最初に発想されたものから抜けることはできません。絵コンテを減らすことはできても急に増やすことはできませんよね。
頭の中で組み立てた以上のものにはならない。っていうのがアニメの宿命で、それだと人生にたくさんあるはずの振り幅がないんですよ。だから如何に音楽でぶっ壊すか。実写だと時々あるんですよね。監督の想像を越える演技だったり、瞬間の風景だったりとか。
−−ではCMの楽曲を作る上での一番の特徴は?
菅野よう子:アニメや映画に関わらず、私は監督やプロデューサーなどの表現したい世界を一生懸命やっているだけなので、「広告だからこう」とは考えてないですね。広告の監督もひとりひとり、みんな違うんですよ、表現したい世界が。
商品を売りたいという理由の奥にある、「人間を表現したい」とか「美しいものをただやりたい」とか「新しいものを」とか。それに応えていくって感じですね。
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| …と、いう訳でお送りしております“菅野よう子 アーティストスペシャル”、次回掲載は8月下旬を予定しております。後編では「マクロスフロンティア」や作詞、コンサート。そして更には…?と、前編に引き続きファン必読の内容となっています! お楽しみに!! |
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